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PRE戦略

(注)本項は国交省PRE研究会の「中間とりまとめ」を参考として作成した。

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結論

1. 意味
1. 「PRE戦略」とは、公的不動産について、公共・公益的な目的を踏まえつつ、財政的視点に立って見直しを行い、不動産投資の効率性を最大限向上させ、行政サービスの効率化を図ることをいう。

(注)CREとの違い
前者は企業価値の最大化にあるが、後者は住民に対する公共サ-ビスの適正化向上にある。

2. 背景にあるのは、
  • a. 土地のリスク資産化
  • b. 土地の価値が乱高下する可能性があること、及びアスベストや耐震等不動産固有の問題に対して所有者がその責任を負うこと
  • c. 公的セクタ-所有の低・未利用地の増加
  • d. 地方財政難と、その改善の必要・・・である。
3. 戦略についての法制度上の規制
  • a. 地方自治法、地方財政法からの規制
    • ア. 行政財産(自§238ノ4)
      • 貸し付け、売り払い等不可
      • 庁舎その他建物等について、余裕ある場合は政令の定めにしたがって、貸付・私権の設定可能。
    • イ. 普通財産(自§238ノ5) 貸し付け、売り払い等可
    • ウ. 債権の管理、処分(地方自治法§240)、私人の公金取り扱い禁止(§243)
    • エ. 財産処分等に係る議会の議決、適正な対価(自§96、§237)
      ・適正な対価の確保 ・・・ 不動産鑑定評価、債権評価
    • オ. 地方債との関係(財§5)
    • カ. 信託制限(自§237-3、§238ノ5-2) 普通財産たる土地以外は信託不可
  • b. その他の法律
4. 公的不動産に関する制度改革の動向その他
  • a. 国の資産・債務改革
    • ア. 売却・有効活用による資産圧縮が中心
    • イ. 「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2006」
      (平成18年7月7日、経済財政諮問会議) (資産・債務改革)
      • 行政改革推進法」に基づき、平成27年度末に国の資産規模対GDP比の半減を目指し、国の資産を約140兆円規模で圧縮する。
      • 国有財産については、一般庁舎・宿舎・未利用国有地等の売却・有効活用、民営化法人に対する出資等の売却に努め、今後10年間の売却収入の目安として約12兆円を見込む。さらに、情報提供を徹底し、PFIを積極的に活用するなど、民間の知見を活用した有効活用(フル・オープン化を含む)を推進する。
      • 既往の貸付金等の売却・証券化等によるオフバランス化についても民間の専門家の知見を活用して、メリットがコストを上回る場合、積極的に実施する。
  • b. 地方公共団体の資産・債務改革
    • ア. 新たな公会計の整備:B/S、P/L等の4表の作成資産・債務管理:資産の売却・有効活用等の方針作成
    • イ. 「地方公共団体における行政改革の更なる推進のための指針」 (平成18年8月31日総務事務次官通知)
      • 公会計の整備
        各地方公共団体においては、「新地方公会計制度研究会報告書」が示すように、原則として国の作成基準に準拠し、発生主義の活用及び複式簿記の考え方の導入を図り、貸借対照表、行政コスト計算書、資金収支計算書、純資産変動計算書の4表の整備を標準形とし、地方公共団体単体及び関連団体等も含む連結ベースで、「地方公共団体財務書類作成にかかる基準モデル」又は「地方公共団体財務書類作成にかかる総務省方式改訂モデル」を活用して、公会計の整備の推進に取り組むこと。その際、取り組みが進んでいる団体、都道府県、人口3万人以上の都市は、3年後までに、取り組みが進んでいない団体、町村、人口3万人未満の都市は、5年後までに、4表の整備又は4表作成に必要な情報の開示に取り組むこと。
      • 資産・債務管理
        各地方公共団体においては、財務書類の作成・活用等を通じて資産・債務に関する情報開示と適正な管理を一層進めるとともに、国の資産・債務改革も参考にしつつ、未利用財産の売却促進や資産の有効活用等を内容とする資産・債務改革の方向性と具体的な施策を3年以内に策定すること。
  • c. 地方公共団体の資金調達に係る制度の変化

    起債が許可制から協議制へ・・・ 地方公共団体の責任と判断のもとで、地方債の発行が行われる。

  • d. 格付の自治体財政への影響
    • 1. 国内格付機関の2社が「勝手格付」を一部自治体に対して実施
    • 2. R&Iが都道府県と市を対象に「財務ランク」を毎年発表
    • 3. 地方債を購入する投資家(機関投資家層)が投資に際し、「勝手格付」及び「財務ランク」を投資判断の基準として利用
  • e. 低・未利用地活用事業の事業主体の43%を地方公共団体が保有(国交省調査)。
  • f. 殆どの地方自治体が、新たな資金調達方法の導入や、保有資産の有効活用が必要である、と考えている。その方策としては土地の処分や有効活用を挙げているのが60%以上である((株)日本日本総合研究所実施のアンケ-ト結果)。

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具体化

1. PRE戦略の流れ

これまで部局単位で管理していた不動産を全庁レベルで棚卸し、処分・有効活用等の方針を戦略的に検討する。

  • a. 自治体の所有不動産の現状把握、価値評価、施設劣化診断
  • b. 自治体の所有不動産全てを対象とした有効利用度評価
  • c. 資産保有必要性の評価(所有・賃貸の選択、収益化の検討)
  • d. 所有不動産の全てを対象とした建て替えローリング計画の策定
  • e. 行政サービスから見た適正な所有不動産の検討と「総量キャップ制」導入の検討
  • f. ASP(アプリケーションプロバイダ)の利用(Webをとおしてソフトウェアの提供ビジネスの利用) ASP利用で、不動産情報の一元化把握が可能となり、遠隔地の情報共有、投資費用(TCO)の抑制が可能となる。
2. 公的不動産の戦略的活用の検討フロー
  • a. 対象資産
    普通財産・行政財産・外郭団体所有の資産(公社、3セク等)
  • b. 資産の調査・把握
    利用実態調査・有効利用度の評価
  • c. 対象資産の評価
    他分野での活用可能性・市区町村での活用可能性・将来的な活用可能性
  • d. 将来的な利用見込
    • ア. 将来的に行政目的での活用が見込めない資産
    • イ. 将来的に活用を想定するが当面は事業化しない資産
  • e. 有効活用の目的
    資産売却による財務改善・有効活用による収益資産化・一時的な資金調達
3. 土地の活用方法の具体化
a. 売却

地方公共団体が所有する資産を売却する。

b. 等価交換

等価交換により公共施設を整備する。

c. 貸付
  • ア. 地方公共団体が所有する資産に普通借地権・定期借地権を設定し、遊休・余剰用地を活用する。
  • イ. (定期借地権の活用)篠崎駅西口公益複合施設プロジェクト・都営地下鉄新宿線篠崎駅の西口の複合施設において、江戸川区が定期借地権の仕組みを活用し、マンション、商業施設と公共施設の複合化を図った事例。
  • ウ. (定期借地権の活用)豊島区が雑司ヶ谷小学校跡地において、敷地を分割して不燃公社に定期借地権を設定し、借地料を前払い方式として、当該借地料を福祉施設の整備費用に充当した事例。
  • エ. (借地料の一括前払い)東京都が保有していた遊休地において、原宿警察署及び単身待機宿舎を移転する際、余剰地に商業・居住等の機能を有する民間施設を整備し、都有地を有効活用した事例。
d. 土地信託

地方公共団体が所有する資産を信託銀行に信託し、信託銀行が事業主体となって有効利用を行い、信託受益権に基づき地方公共団体が信託報酬を得る。事業リスクの課題があり、近年はほとんど活用されていない

e. リ-スバック
  • ア. 地方公共団体が所有する資産をリース会社等に売却し、リース期間中はリース料を支払い、期間終了後に所有権を行政に再移転する。
  • イ. 借地権設定底地のリースバック)神奈川県が所有する花月園競輪場について、売却代金による一時的な財源確保のため、リースバック方式による財産売却を活用した事例。花月園競輪場は従来から施設を管理する花月園観光に有償貸付されていた。当該底地をリース会社に30年間の期限付きで43億円にて売却し、県はリース会社から敷地を30年間賃借し、期限後に買い戻す、という事例。
f. 証券化
  • ア. 地方公共団体が所有する資産を、特別目的会社(SPC)に売却し、SPCがABS(資産担保証券)を発行する。
  • イ. (証券化職員宿舎用地)新潟県が東京都北区にある職員宿舎用地を証券化した事例。不動産販売のモリモトと契約し、県は25億円を調達した。既存の建物を解体し2600平方メートルの敷地に5階建ての分譲マンション9戸7階建ての職員用住宅20戸を建設予定。職員住宅は県が改めて借り受ける。
  • ウ. (市庁舎証券化の検討)某政令市が庁舎の証券化検討調査を実施(最終的には証券化は実施されなかった)。しかし、市庁舎の証券化の可能性があることを顕在化させた意義は大きく、本件の意思決定プロセス等を分析することにより、公的不動産の有効活用のヒントがあると考えられる。
g. PFI(Private Finance Initiative)
  • ア. 意味
    公共施設等の建設、維持管理、運営等を民間の資金、経営能力及び技術的能力を活用して行う新しい手法。 「民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律」(PFI法)が平成11年7月に制定され、平成12年3月にPFIの理念とその実現のための方法を 示す「基本方針」が、民間資金等活用事業推進委員会(PFI推進委員会)の議を経て、 内閣総理大臣によって策定され、PFI事業の枠組みが設けられた。 民間の資金、経営能力、技術的能力を活用することにより、国や地方公共団体等が直接実施するよりも効率的かつ効果的に公共サービスを提供できる事業について、PFI手法で実施する。
  • イ. 目的
    PFIの導入により、国や地方公共団体の事業コストの削減、より質の高い公共サービスの提供を目指す。
  • ウ. 活用
    • PFI事業者に不動産売却
    • PFI事業者と共同で施設建築・利用
  • エ. 運営段階に至っている事例の主なもの
    • 消費生活センター・計量検査所複合施設PFI特定事業(千葉市)
    • 神戸市摩耶ロッジ整備等事業(兵庫県、神戸市)
    • 岡山リサーチパーク・インキュベーションセンター整備等事業(岡山県)
    • 江坂南立体駐車場整備事業(大阪府)
    • 羽島市民プールの整備・運営事業(岐阜県、羽島市)
    • とがやま温泉施設等特定事業(兵庫県、八鹿町)
    • マリンピア神戸フィッシャリーナ施設整備等事業(神戸市)
    • 鯖江駅周辺駐車場整備事業(福井県、鯖江市)
    • 常陸那珂港北ふ頭公共コンテナターミナル施設の整備及び管理運営事業(茨城県)
    • 大分県女性・消費生活会館(仮称)事業(大分県)
    • 調布市立調和小学校整備並びに維持管理及び運営事業(東京都、調布市)
    • 八雲村学校給食センター施設整備事業(島根県、八雲村)
    • 金沢競馬場省エネルギー対策事業(石川県)
    • 神奈川県衛生研究所特定事業(神奈川県)
    • 竹の塚西自転車駐車場整備運営事業(東京都、足立区)
4. その他資産-流動化の方法
a. 債権
  • ローン・パーティシペーション債権の全部または一部を第3者(SPV)に売却。当初の権利・義務を移転させずに、その経済的利益とリスクだけを移転させるもの。
  • キャッシュフロー・スワップ取引(信用リスクとキャッシュフロ-変動リスクを自治体が負担し、原債務者の返済状況にかかわらず、投資家に約定通りの支払いを行うもの)。
  • 証券化自治法により債権譲渡は禁止されているので、これはできない。
b. 基金

条例により設置される基金のうち、定額運用基金の処分は可能。

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